額縁・額装・ディスプレイ用画材(モールディング)・デジタル版画工房

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額縁の起源については、明らかではありませんが、古代ギリシア・ローマでは額縁の原型が存在したと想像されており、今日の額縁の装飾のさまざまな様式は、ギリシア・ローマ時代の装飾様式の流れをくんでいるといえます。
中世ヨーロッパでは、多くの祭壇画や聖画像(イコン)が描かれましたが、それらのなかに、今日の額縁を思わせる縁取りが現れます。
その多くは金箔でおおわれ、絵画の周辺を豪華に飾っています。

本来額縁は、室内建築の一部分であり、また聖堂や礼拝堂の内部装飾の一部に過ぎなかったのですが、それぞれの絵が独立性を帯びるのにしたがって、枠囲みのほうも発展し、彫塑的になり、建築物化していくのです。
このように額縁は、建築的な枠囲みとしてスタートしたわけです。

ルネサンス期になると、独立した作品として絵画が描かれるようになり、額縁はそれにともなって一般化していきます。
そして絵画が室内調度として多用されるようになると、額縁もまたその一つとして盛んにつくられていきます。
その様式は、古代ギリシア・ローマの神殿からヒントをえたものを特徴とし、テンピエット(小神殿)額縁やタベルナクルム(聖竈)額縁といわれるものが登場します。
その形式としては、単純なものから、精緻な彫刻・鍍金を施した華麗なものまでさまざまです。

16世紀になると、円形や正方形のものが現れます。 円形額縁は、額縁が建築物としての特徴を失い、壁に置かれる独立した存在を獲得したことを示すものといえます。建築的な特徴を失うとともに、凹凸のある彫刻的なものとなっていきます。

17世紀以降のタブロー画の隆盛は、額縁の需要をいっそう盛んにします。
そして絵画の描写対象の多様化が進み、それにふさわしい額縁を必要としていくのです。
額縁が発達史上の絶頂期を迎えるのは、17世紀半ばからナポレオン期においてのフランスといえるでしょう。
ルイ14世の肖像の額縁はその典型であり、上部の大きなカルトゥーシュ(渦形装飾)とその上に王冠が飾られるなど、木製の本体に彫刻を施し、鍍金した豪華絢爛たるものです。

18世紀になると、貴族は個人生活を楽しむようになり、客間、居間、書斎、寝室、食堂、廊下など目的にあった部屋をつくり、それぞれにふさわしい絵を掛けるようになります。
このような貴族の生活が支える優雅と洗練は、額縁の装飾にもアカンサスの葉や左右対称に置かれた貝殻文様などとして現れ、ロココ様式という洗練されたスタイルを作ります。

18世紀末の新古典様式では、ロココのねじれた曲線への嗜好は、端正な直線へと変化し、月桂樹のような古典的モチーフが現れます。

19世紀の絵画はさまざまな流派を生みますが、額縁はその流派や作家にしたがうことはもはやありません。
このようにして、額縁の表現形式が同時代の絵画と関連づけることが意味をなさなくなるのが、19世紀以降の特徴といえます。

20世紀になると、抽象絵画、アンフォルメル、ポップアートなど、額縁の否定へとおもむく流れも見受けられるようになります。
しかしながら、枠なしの絵画展示法は、一時的現象にすぎません。
今日、絵画はさまざまな表現形式をとり、建築様式も多様化していますが、そのなかで額縁には、新たな様式が模索されているといえます。
額縁の歴史のなかで日本的技法について言及しますと、確かに絵画においては印象派の画家たちが日本の浮世絵に大きな影響を受けていますが、額縁については、日本的技法を採り入れたものもありますが、異国趣味の面白さはあっても、額縁装飾の傍流にすぎない状態なのです。